› 陶studio ブログ › 2014年12月01日

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Posted by みやchan運営事務局 at

2014年12月01日

天草~常滑 ⑧

こんばんは。

今日から12月 いよいよ引っ越し作業を進めたいと思います。

その前に、天草~常滑 今回で終わります。


常滑での3日間は、正直言葉にするのが難しい。 
それは、その間に流れていた私の中の思考の川が、溢れんばかりの“感覚”で満たされ、その分“言葉の断片”が疎らになり拾いにくいのだ。
言葉の断片が少ない分、言葉の結晶も作りにくい。
あのキラキラと輝いた3日間は、その生の感覚のまま、私の心のなかに仕舞っておきたいと思う。 
下手に言葉にすると、干し柿のようになってしまいそうで怖い。
 
 天草で見た“クラフトフェアまつもと”の写真からのつながりで言えば、クラトコは、理想的なクラフトフェアの形だといえる。
会場・出展者・来場者がいずれも質が高く、そしてバランスがとれている。
ステージのない水平感がありながらも、その分、クラフトとして大切なモノが際立って存在していた。
作り手・うつわ・使い手 それぞれが信頼し合い繋がっている。
 そんな空間に、自分の作品を並べることができて嬉しいし、学ぶことも多かった。
陶芸家としてこれまでやってきたことと、これからやるべきことが、よりはっきりと見えた気がする。
 
 会期が終わり、翌早朝、北郷に向け出発。その途中、私はもう一度、クラトコの会場に行ってみた。
日の出前の薄明かりの森。いくつかのテントがまだ張れてある。
木々と落ち葉、すこしひんやりとした空気、誰もいない静かな空間があった。
私は、しばらくそこに突っ立って「天草~常滑」の旅を振り返ってみた。
体力的には大変だったが、楽しく充実した気持ちの一方、その旅の終わりが近づいていることに寂しさを感じた。
しばらく立ち尽くしてから、「さて、帰るか。」と顔をあげる。
すると、目に美しい光の情報が飛び込んできた。

それは、日の出が近づき、薄いグレーと薄いブルーと薄いピンクを重ねたようなほんのり明るい光が、森の木々の隙間から漏れ、太い幹や細かな枝の重なり、乾いた葉のギザギザしたシルエットの黒さをより深めていた。
それはまるで、天草の招聘作家吉本伊織さんの絵の世界だった。
それは笑えるほどに。

 私は、嬉しい気持ちになり車に戻った。そして常滑を離れ、知多半島道路を北上したのだった。

おわり

  


Posted by 陶STUDIO・サキムラ久 at 21:52Comments(0)