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2015年11月07日

第8回アマクサローネ 紫肝造アートレポート③

第8回アマクサローネ 紫肝造アートレポート③こんにちは。

紫レポート3回めです。

第一回目は、取り消し依頼 があったため、削除しました。 残念です。

では、3話目どうぞ^^;



1980年代、現代美術の派生から<パフォーマンス>という表現スタイルが、日本でも知られるようになった。
その流れは、ローリー・アンダーソンのようなファッショナブルなものから、ボイス&パイクによるハプニングなど様々な広がりも見せた。
その中の一つに<ポージング>という流れが生まれた。
肉体表現としてのパフォーマンスとは逆に、ただ<ポーズ>をとるだけのアートだ。

80年代、アートはエネルギーに満ち溢れていた。
アートは社会の核心的な一部と捉えられていたし、その手応えを皆感じていた。アートで世の中を変えられると本気で思える時代だった。

だが、<ポージング>は、その価値観を揶揄する動きでもあった。アートとは儚いものであり、<見かけだけの存在>でもあり得る。

今思えば、あのアートのエネルギー-は、日本を含め世界経済が沸き立ってうかれた空気の中の、一時の夢だったのかもしれない。


今回のアマクサローネ招聘アーティストの目玉とも言える久保田弘成(敬称略)は、そのポージングパフォーマンスを今に受け継ぐアーティストの一人といえる。

ただ、久保田がポージングによって、アートを揶揄しているかといえば、全くそうではない。真逆である。

彼が国内外で車や船を廻した十数年間は、そのまますっぽり、いわゆる<失われた20年>に嵌り込む。
それは、アートの力が衰退した20年とも言える。80年代の<ポージング>とはまるで意味が違うのだ。

<自動車のエンジンを動力にした、純天草産・日産フェアレディZを縦にグォングォン廻すパフォーマンスです。>とパンフレットにある。
これは言葉ではなかなか伝わらない状況だ。車が廻ると言っても、ありえない方向にまわっているからだ。
映像を見てもらった方が早いだろう。



このパフォーマンス、一見アグレッシブで力強いが、パフォーマーの久保田自身はパフォーマー中ほぼ動いていない。
計算されたポーズを一人決め続けている。

では、何のポーズをしているのだろうか?

彼の衣装やアイテムを見れば、自ずとイメージが湧く。

フンドシ、日本刀、タバコ、神道、日本人、・・

それはこの人、三島由紀夫 である。


三島は、日本国の行く先を憂いでいた。その彼が自動車をグォングォン廻す。

自動車やエンジンは、日本経済の象徴でもある。
それを、グォングォングォンと廻す。そのメッセージは、実際にパフォーマンスを目にした者しか分からないが、しいて言うなら、三島由紀夫への鎮魂 とも感じられる。

久保田の車廻しは、今回の天草が生涯最後のパフィーマンスになるらしい。

なぜ、いまなのか? 考えてみた。

私の解釈はこうだ。

三島由紀夫が憂いだ 日本軍(自衛隊)。
そして、日本経済の象徴 自動車。
それらに関する重要な法案が2015年、成立した。

新安保法案 と TPP である。 

それは、これらの問題が次のステージに進んだと言える。

そんな年、2015年こそ、終着の年といえるのかもしれない。

(紫肝造アートレポート)



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Posted by 陶STUDIO・サキムラ久 at 17:59│Comments(0)紫ぶ肝臓ろアートレポートぐ
 
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